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小説「意気地無しなばかりに」は「小説家になろう」に投稿していて、当ブログへは遅れて掲載します。

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 彼女はその後も大学時代のこと、自身の両親の話などを話し、俺は彼女に聞かれたことに対してだけ素直に話していた。

「奥さんってどんな人ですか?」

「どんなとは?」

「どんな人を好きになり、いっしょになったのかなって思って」

「俺とは違って運動好きで、体を動かすことが大好きな人、かな……」

「そういう人がタイプなんですか?」

「タイプ……、女性の好みっていうのは特にないかな。太っている人は苦手とか漠然としたものはあるけど、話していて気が合って、この女性何だかイイ感じだなと思ったら好きになっている……、そんな感じだから」

「だったら、わたしのことを好きになることもあるのかな」

「そりゃあ、ないとは言えないけど……」

「じゃあ、頑張ってみようかな……」

「そういえば、今は彼氏はいないの?」

「はい、会社に入ってからはなかなかご縁がなくて。それに、いいなと思う人はみんな結婚されていてたり、彼女がいたりでなかなか……」

「以前にほかの女子社員から、同じようなことを聞いた記憶があるよ」

「早いもの順でいい人は先に取られちゃうから仕方がないですね」

「でもうちの職場は男のほうが圧倒的に多いから、モテはするんじゃない?」

「モテるのかどうかは……、何度か告白されたり手紙をもらったりはしましたけど、正直なところ残っている人はちょっと……」

「でも、残り物に福があるって言うしさ」

「でもちょっと……、今はよその会社の友達に合コンをセッティングしてもらったりして、少しずつ広げていっているのですけど、なかなかねえ……」

 彼氏がなかなかできないから、既婚者でも良いと乗り換えてきた?――。

 大人の恋愛を望んでいたからチャンスだという気持ちはある。でもそれ以上に、深入りしないほうが身のためだという気持ちが上回り始めた。

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