お知らせ

小説「意気地無しなばかりに」は「小説家になろう」に投稿していて、当ブログへは遅れて掲載します。

始まる 4

始まる

 カウンターに横並びに座って鍋をつつく。

 最初のうちは仕事の話が中心だったけど、少しずつプライベートな話が多くなっていく。

「今度妹と沖縄へ遊びに行くのですけど、会社では誰にも言っていないのに○○さんが沖縄旅行のことを知っていて……、以前にも前日に行ったばかりなのに、あのカフェって雰囲気が良いよねって急に言われたりして気持ち悪くて……」

「え? ストーカー?」

「それだけではなくて、○○さんって女子だけでおしゃべりしていたら急に割り込んできたり、気が付いたら隣に座っていたりするし……。わたしだけでなくて、多くの女子社員が迷惑がっているんです」

「SNSにプライベートな情報を上げていない?」

「上げていますけど、本名は隠しているし……」

「そういえば○○って女子の△△さんと仲良くなかった? 男性の間でそんな噂が流れたことがあったけど……」

「そうなんですか? でも彼女は誰とでも関係を持つっていう噂もあるし、そうなのかな……」

「その△△さんから女子の話をいろいろと聞いて……、ならばあり得るかもしれないね。SNSのアカウントも△△さんは知っているんじゃないの?」

「知ってます、お互いにフォローしているし、ほかの多くの女子社員も……」

「しばらくはSNSにはプライベートなことを上げないほうがいいよ」

「うん、そうします……」

「今日のことなんて上げたら、それこそ誰と行ったの? なんてしつこく聞かれるかもしれないしさ」

「あの、わたしとお鍋を食べに行ったことがばれるとマズいですか?」

「そりゃあ良くはないと思うよ、俺は妻帯者だしさ。君だって良くは思われないかもしれないし……」

「わたしは……、大丈夫です。わたしは話をしたいという心に従って行動していますから。何も間違えていないと思っているし……」

「でも、お互いにバレないように気を付けるのには越したことがないしさ……」

「そうですね、バレないようにしていれば大丈夫ですよね」

「……」

 

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