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小説「意気地無しなばかりに」は「小説家になろう」に投稿していて、当ブログへは遅れて掲載します。

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 昼休憩中に食事をしてから一〇日が過ぎた週末、なおこは再び我が家にやってきた。再びといっても一カ月が経過しているのだが、これまでの来宅の頻度からするとその間隔は短いように思う。妻と話がしたかったそうで、同棲を解消したことを聞いてもらいたかったのだろう。

 

「一〇年以上も同棲をしてきたのに……。結婚はしないだろうなって思っていたけど、まさか別れて同棲を解消するとは思っていなかったわ」

「うん……、このままずっと同棲でも良いかなと思っていたんだけど、二股されているとわかると急速に冷めちゃって、もう一人でいいやと思っちゃってさ……」

「別れたのはつい最近?」

「うん、二週間くらいになるかな……、それからは仕事も何もかもがバカらしくなってきちゃってさ、直接せつこに話を聞いてもらおうと思って……」

 俺は先日なおこと食事をした時に同棲を解消したことは聞いていたが、二股の件は知らなかった。

 

「ねえ、けんじ、この前のお昼のことはせつこには言ってないの?」

「うん、また浮気疑惑に発展したら困るからね」

「そうだね……。あのさあ、けんじ」

「どうしたの?」

「けんじは私のことどう思ってるの?」

「どう思ってるって……、同級生で昔付き合っていた時期があって、せつこと仲が良くて……、くらいかな」

「この前、ここに来たのはけんじに会いたくなったから、この前のお昼もどうしても会いたくなって会社を休んで、そして今日も……」

「え?」

「二股なんてウソ、私からさよならしたの」

 妻が席を外している間に俺に話をしてきたなおこは、予想外の話をしてきた。

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