車庫で留置されている真冬の電車の車内は信じられないくらい寒い。
寒空の下駐車されている車の中よりはるかに寒い。
車と違って空間が広いからかな。
電車のヒーターって雪国で走る電車だとマシなんだと思うけど、たまに雪がちらつく程度の場所にある鉄道だったから、ヒーターがかなり貧弱。
古い電車だと乗務員室の中には電熱タイプ(シーズ線)で高さ20cm横幅30cmくらいのヒーターが一つだけ。
本当に気休め程度のものでした。
ヒーターじゃないけど、窓の曇りを取る熱線入りのガラスのほんわかとした暖かみも貴重でした。
寒さによって車内の蛍光灯も薄暗くにしか点灯せず、寒さに拍車をかけていました。
出庫前の各部の点検を行うと体は温もるけど、手や足先はほぼ凍った状態なのか寒さを通り越して痛い。
そして時間になって車庫から電車を出すときには鼻は垂れているし、指先の感覚がないままブレーキ操作しなきゃいけないしで、本当に辛かったな。
車庫で電車を起こして三〇分ほどでお客さんを乗せて運転するのですが、乗務員室も客室も冷え切ったまま。
運転席の椅子に座ると冷たさがダイレクトでお尻に伝わってくる。
座布団を持ってきて乗務する人もいるけど、あれは寒さ対策ではなく〝痔主〟さんだからです。
冷え切った椅子から冷たさがお尻の穴に直撃し、その冷たさがお腹に伝わることで次に襲ってくるのが腹痛です。
夏場の腹痛とは違い、お腹の中が冷え切っての痛みってかなり辛いんですよ。
指先も冷たいままだし、これ以上お尻から冷たさを伝えないようにするために、駅に止まるたびに手を椅子とお尻の間に入れて、手を少しでも温めつつ椅子からお尻へ冷たさを伝えないようにするという動作を行います。
普通電車なんて駅に止まっている時間は二〇秒とか三〇秒ですが、この短い時間が貴重でした。
だから冬は通過駅の多い特急や急行には乗りたくなかったです。